
防火区画の隠れた危険性とは?

防火区画の隠れた危険性とは?
防火区画の壁と床は,ある区画から別の区画への火炎と煙の伝搬を防ぐことを目的としています。しかし,これらの区画の壁や床には,ケーブル,ダクト,配管類,いわゆる設備供給のための開口部が存在します。これらの建物に必要な開口部は必要最小限の開口部に抑える必要があります。照明,電力供給,冷暖房や給排水,換気と空調,通信回線,およびその他の多くの設備機器が建物に設置されており,事前に計画されたものだけでなく,時として事前計画には無く現場対応で開けられた防火区画に開口部を開けて,貫通させなければならない場合もあります。また,多くの業種の施工業者,例として内装工事業者,断熱工事業者,電気工事業者,ダクト工事業者が,様々な貫通物の設置や措置に関わります。このように,実際の防火区画措置工事は非常に複雑な作業になりますが,明確な事前計画または現場仕様折込がなされていれば解決可能となります。多くの場合,必要な耐火性能を満たし,法やガイドラインに適合した防耐火措置は,現場の最終段階で関わる担当の方々に委ねられています。
実際ファイヤーストップ材料や工法は認証を受ける必要があり,規定のテスト基準に従って燃焼試験を行っているため,時として正しく措置することが簡単にはいかないケースがあります。したがって、残念な現実として防火区画を貫通した多くの区画貫通部が間違って施工され,適切な材料を使用されていなく,関連する認証にも合致していない場合もあり,最悪な事例として何も措置がされていなく区画貫通部がオープンのままでさえあるということです。これにより,火炎と煙が建物全体に拡散してしまい,防火区画がその意図された法的に必要な目的を満たさなくなるため,建物火災の主たるリスクの原因の一つになってしまいます。
区画において高いリスクとなる領域:シールされていないパイプ,ケーブル貫通部、および建物ジョイント部
防火区画貫通部では,正しく防耐火措置を行うことが重要です。火災が発生すると,プラスチック製のパイプやケーブルが溶融し有毒ガスが発生します。金属パイプと高圧ケーブルは熱を伝達します。ファイヤーストップ製品は熱膨張し,開口部を自動的にふさぎ,壁または床からの火炎を完全にシャットアウトします。またファイヤーストップ工法は,過大な熱伝達を阻止し,貫通物を高温にならないようにする断熱材の役割もしています。
煙(常温)は火炎(毒性ガス)が発生した場合,死亡原因の主要要因であるため,遮煙対策を忘れてはいけません。火炎が拡大するまでの時間はそれほど長くはありませんが,それよりも煙は伝搬速度が速く一気に拡散します。上部へ移動する煙は,区画を通して建物の全体の資産や設備にもダメージを与えます。したがって,しっかりと遮ガス・遮煙対策として密閉する必要があります。下記の写真では,実際の火災時に煙の発生源から遠く離れた区域へ,常温の煙が拡散してしまった記録です。2分とかからず,この病院の廊下とすべてのエリアに煙(有毒ガス)が充満しました。その理由として,密閉されていない貫通開口部の隙間を煙が漏洩し拡散したことによります。
病院内での火災と煙の伝播 (トゥルク,フィンランド, 2011年9月2日 2)
防火区画 解説シリーズ3へ続く...
出典:
2) Safety Investigation Authority, Finland, www.turvallisuustutkinta.fi
その他の出典と写真: ヒルティ社内資料より, シャーン, リヒテンシュタイン